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お客様は正しい!

クレーム対応をする際に、スタッフが心得ておかなければならない基本的な視点があります。それは「ギャップ」です。クレームを下さるお客様とスタッフの間には大きな溝(ギャップ)があるのです。このギャップ理解せずに、「お客様の立場を理解しましょう!」といってもなかなか難しいことです。

何よりも、クレームの対応をする際には「お客様の立場を理解する」ことが大切です。でも、それはスタッフとしての立場を踏まえて「理解しよう」としてもお客様の発言は理解できないでしょう。なぜなら、お客様のクレームの世界観とスタッフのクレームの世界観は全く違うのです。

下の図に示したように、お客様がクレームを下さるときに作り出す「世界観」は、自分のことが全てだということです。スタッフ側から見れば、お客様はたくさんのお客様、クレームの一つに過ぎないわけです。ですから、スタッフとしては定式どおりに処理したいのです。このような世界観の違いが小さな一つの所作や発言にも大きく影響して、お客様の気分をさらに害してしまうことがあるのです。

【お客さま】【スタッフ】
不完全な情報・知識
自分のことがすべて
権利意識
感情的な対応を求める
より豊富な情報・知識
たくさんの案件のうちの一つ
経営・組織の原理
論理的な対応を探る


また、お客様は必ずしも商品やサービスのプロではないのですから、詳細に、客観的にクレーム状況を説明することはできません。一方、スタッフは接客サービスのプロであり、商品知識はお客様に比べて豊富なのです。豊富な商品知識を基にしてクレームを聞いたときに、「それほど大きな問題ではない」といった意識が生じてしまうこともあるのです。しかし、お客様の世界観から言えば、どんな小さな不具合も大きな問題に見えてしまうものです。

お客様はクレームも含めてお客の権利として認識されている方が多いです。一方、スタッフのほうは経営観念や組織としての原理が見え隠れします。「そんなことに対応していたら、お店、会社が大きな負担になる」など、組織としての善悪で判断しがちです。しかし、お客様は自分の権利を主張し、自分の利益を確保したいという基本的な目的があるのです。

このように、お客様とスタッフの世界観は大きく対立しています。しかし、どちらが正しいという神学論争は必要ありません。接客サービスには「善悪」「真偽」の対立はないのです。たとえ、お客様が間違った主張をされているとしても、お店側がそれを「間違っている!」と主張すること自体が「アウト」なのです。お店が正義を追求しても、お店がつぶれてしまえば何も得るものはありません。お店や会社はお客様に満足していただき、お店、会社が存続していくことが大切なのです。

ですから、お客様の主張とスタッフの考え方が根本から違っていたとしても、スタッフが自らの主張をしてはならないのです。「お客様の主張が正しい」が正解です。

お客様とスタッフの世界観のギャップはあって当たり前です。しかし、このギャップの存在をよく理解しないで、「お客様の立場に立て」といっても無理なのです。お客様のクレームが正しいという前提に立って、その上で「お客様の立場に立つ」ことが必要なのです。

一見、理不尽な考え方かもしれません。お客様がどんなに間違っていたとしても、スタッフは反論できないのか?

いいえ、そういうわけではありません。これは「全体」としての流れ・考え方です。

お客様の主張は正しい。それがどんなに非合理的で、主観的なクレームであっても正しいのです。ですが、最初に述べたように、商品知識があまりない、損をした気分で気が立っているなど、お客様にも間違っている部分もあるかもしれません。

そんな時は「しかし、この部分については、こうではありませんか?」といったような部分的修正の論法は可能です。

この「お客様の主張の部分的な修正」こそが、クレーム対応のプロとしての土俵(リング)なのです。相手の立場を理解しながら、お店、会社のルールも理解してもらう。それがプロです。